• 天ぷら中華(630円)

  • 三原からそのまま尾道へ。来々軒がライトだったため余力がありそうなことに加え、まだ正午前なので並ばずに済むかもと目論み、久しぶりにみやちへ。

    こちらは昭和21年の創業。入り口は尾道特有の狭い路地に面しており、店内も壁向きのカウンター席のみの狭小店。和そばとうどんと中華そばを提供するが、それぞれのスープや具が相互に組み合わされるボーダーレスでカオスなメニュー構成。例えば中華うどんとか、きつね中華とか。

    スタンダードの中華そばは、来々軒の550円に対してこちらは500円。今時にしては格安の良心価格。

    思惑に反してすでに外待ちあり。ま、中待ちは狭くて不可能なのだが。5分ほどで入店。本日はここのど定番の天ぷら中華をオーダー。

    たまたま一緒に入店し、私の横に着席した作業着のおっさんは、カレー中華の大盛りを悩まずオーダー。これも美味しいのだが、スープにとろみが付けてあるため食べ終わるまで微塵も冷めず、かつ熱々のそれが麺をすする度にまとわり付く。外気温32度を超える本日に、躊躇せず毅然とそれを選ぶ横顔に手練れの猛者と見た。心の中で敬意の黙礼をする。

    麺茹で担当の奥さんの「熱いですよ、気をつけて」の声と一緒に着丼。確かにこちらも充分熱々。スープはラーメンや中華そばのそれよりは、見た目も味わいも限りなくうどんの汁に近い。こうなるとその境目がどこにあるのか、果たして双方に元々明確な相違があったのか、片時思考混乱に陥るレベル。やや油が浮くのは違いだが、これもほぼ天ぷら由来。

    麺は出所不明だが、地元の井上製麺の物のような細ストレート。安定の柔らかめ。スルスルとすすりやすい。

    トッピングの天ぷらとは小えびのかき揚げのことで、衣は厚め。えびはプリッとした食感がちゃんとあり、柔らかめの衣はスープを吸って美味しい。うどんもどきのスープと良く合う。もも肉のチャーシュー(煮豚)が2枚。カチカチ手前のしっかり食感で、これはこれでうまい。メンマがチョロっと、青ねぎはたっぷりのる。

    気付くととなりのおっさんにも少し遅れて着丼しており、熱々のネロネロスープに少しも怯むこと無く、ズルズルと無心に麺をすすっていた。やはり相当な腕前だ。心の中でパイセンただれたお口をお大事に。お先に失礼しますとささやき、店を後にした。ご馳走さま。