• 鶏そば(900円)

  • 2022年5月28日(土)

    本日は前々から気になっていたこちらの店を初訪問。

    昨年秋に発刊されたTRY新人賞MIX部門で見事1位を獲得した新店です。

    尚、元々は滋賀県で営業していたそうですが、昨年2月に満を持して東京に移転したとの事です。

    13時24分に到着すると、昼食時を過ぎているにも関わらず店内の席は殆どが埋まっている状況です。

    先ずは「鶏そば」の食券を購入し、席に着いて食券を渡すと待つ事14分ほどで待望のラーメンが到着です。

    粘度を強く帯びたスープには肉の繊維質が溶け込んでいて、中太麺の上にはチャーシュー、穂先メンマ、刻みネギ、三ツ葉が乗っています。

    先ずはスープを飲んでみると、穏やかでいてコクを保った醤油の風味と共に、濃密でいて臭みの無い動物出汁の旨味が口の中に広がります。

    と言うか、出汁と呼ぶよりも最早素材が溶け込んだペーストと言った方がイメージに近いのかも知れません。

    出汁は鶏や豚との事ですが、外観や味わいからはガラから出た骨髄ではなく明らかに肉質から出たエキスが主体を占めている様に感じます。

    また、コラーゲンが豊富である割にはゼラチン臭が殆ど無く、油分も結構低めである事から意外とスッキリした味わいに仕上がっています。

    一方、塩味が控えめである割には醤油の風味が効いていて、それが出汁の濃密な旨味の背後で味わいに確かな奥行きを与えている印象です。

    次に麺を食べてみると、多加水寄りの中太麺が若干硬めに茹でられていて、些か風味に欠けるものの噛み締めると靱やかなコシを感じます。

    そして、麺には至極粘稠なスープが潤沢に絡み込むものの、スープの旨味が勝ち過ぎている事から味わいに顕著な変化は生み出されません。

    次にチャーシューを食べてみると、低温でレア気味に仕上げた豚肩ロースが結構厚めにスライスされています。

    肉質は弾力を保ちつつも柔らかく仕上がっていて、噛み締めると甘味を帯びた下味が重なる事で脂身のコクや甘味が舌に鮮明に伝わります。

    食べ終えた感想ですが、独創的で秀逸に纏められた味わいではあるものの、私個人的には目が覚める様な感動を得る事は出来ませんでした。

    一方、私は鶏白湯特有のゼラチン臭が些か苦手ではあるものの、このスープからは鶏白湯で頻繁に遭遇する嫌な臭味が一切感じられません。

    この臭味が至って希薄な鶏白湯をベースとした「魚介鶏そば」や「カレーラーメン」であれば私の好みにズバリとハマりそうな気がします。

    改めて訪れる機会があれば、次回はTRYで見事1位に輝いた「魚介鶏そば」を是非試してみたいと思います。

    ご馳走さまでした。