セ麺鶏（1200円）

今回いただいたのは、麺屋昊鶏の限定メニュー「セ麺鶏」。まず目を奪われるのは、そのインパクト抜群のビジュアル。レンゲがまっすぐ突き立つほどに濃厚な鶏白湯スープが、丼の中で静かに輝いています。まさに「鶏を超凝縮させた一杯」という表現がふさわしい、圧倒的な存在感。

スープをひと口啜ると、驚きの体験が待っています。ドロリと舌にまとわりつくほど濃密でありながら、決して重たくなく、むしろ鶏の旨味が優しく身体に染み渡るような感覚。不思議なほど後味が軽やかで、「濃厚＝くどい」という常識を覆す、バランス感覚の妙に思わず唸らされます。

麺はスープをしっかりと受け止める中太麺。滑らかな舌触りとモチモチ感があり、スープと一体になって口の中を満たしていきます。上に添えられた玉ねぎスライスが爽やかなアクセントとなり、濃厚な鶏の旨味にリズムを与え、食べ進める手を止めさせません。

そして最大の魅力は〆の楽しみ。無料サービスのライスを投入し、残ったドロドロの鶏スープでおじや風に仕上げれば、二度目の感動が待っています。スープの濃厚さがご飯に絡み、雑炊とはまた違う、濃密で贅沢な鶏リゾットのような味わいに。まさに「最後のひと口まで楽しませる」設計がされた一杯といえるでしょう。

レンゲが突き立つほど濃厚なのに、不思議と胃にも心にもスッと収まる。麺屋昊鶏の「セ麺鶏」は、鶏のポテンシャルを極限まで引き出しながら、食べ手に優しさを残す珠玉の限定ラーメンでした。