• ラーの日だと言われ、腹が減ってきた。

    頭フル回転で話しまくった、こんな日は、こってりでもさっぱりでもない、ちょうどいい味が恋しくなる。

    「ラーメン かじべい」
    二度目の来店。こういう店は、間違いない。よし、入ってみよう。

    少し迷う。
    火山ラーメン、醤油、チャーシュー、冷やし味噌ラーメン、いや、今日はこれだな。

    ——「醤油つけめん」。

    つけめんは、麺とスープの距離感がいい。
    必要なときに必要なぶんだけ、近づけばいい。
    まるで、大人の関係だ。

    やがてやってきた醤油つけめん。
    麺が伸びる前に食べよう。つけめんだけど。
    まだスープが来ないじゃないか!!
    まず、麺の美しさに見惚れる。ツヤとハリのある中太麺。

    そこに熱々のスープが登場。

    つけ汁は黒に近い深い醤油色。
    香りが立つ。醤油とネギがしっかり握手してる。平和条約の握手のように。
    温めもできる細かい気遣いが、嬉しい。

    まずは麺だけを一口。
    ——うん、コシがある。噛むたびに小麦の風味が広がる。

    つけ汁にくぐらせて、ズズッとすすれば——

    ……うまい。
    キレのある醤油のパンチ。そのあとにじんわり来る、出汁の甘みと旨味。
    これは……丁寧に作ってる。ガツンとくるのに、やさしい。ギラギラしてないのに、印象は強い。
    まるで、二度目に会ったときの印象が一番いい人、みたいな味だ。

    チャーシューも手を抜いていない。
    あぁ、こういう店があるから、平日夜のはやめられない。

    今日の俺の胃袋に、ぴったりのつけめんだった。