• カタヤキそば(700円)

  • 世の中には味は絶品だが、注文するのを躊躇うメニューというのが確かに存在する。
    この店のカタヤキそばもそのひとつ。理由は単純明快、量が多すぎるから。

    麺は揚げた中細麺。直径25cmの平皿に、こんもりと小山のように盛られる。その上から中華鍋で調理された熱々のあんが、たっぷりとかけられる。
    具材は白菜、たけのこ、もやし、豚肉、生きくらげ、チンゲン菜、ピーマン、にんじん、にら、玉ねぎ、紅白かまぼこ、しいたけ、レタス?
    量も種類も多すぎて、正確に数えられない。
    皿の縁には和芥子が添えられるが、あんの量と全然釣り合っていない。

    野菜は適度な焦げ目がついて香ばしく、絶妙な火入れ加減でしゃきしゃき。豚肉も大きいのが2枚。そのまま生姜焼きにできそうなほど。
    個々の具の存在感が凄いのに、味がとっ散らからないのは、店主の腕の賜物だろう。
    かなりの高齢だが、中華鍋を振る手つきも鮮やか。甘めの味付けで抜群の美味さ。

    敵は熱さだが、あんの少ない端の方から徐々に崩していくことで無事解決。
    あんのとろみが強いので、麺のバリバリ感も終盤までちゃんと持続する。
    中盤からは和芥子をアクセントに、終わりが見えたら卓上の酢をかけてさっぱりと。
    完食まで26分。およそ2年ぶりに食べたが、やはり美味いわ。それ以外の言葉が出てこない。
    ただし、体調がイマイチな時に頼むと遭難しかねないので。確実に食べ切れる時に。
    700円でこのボリューム。町中華にこれ以上は望めないでしょ。

    会計時によく冷えた缶コーヒーをいただく。いつもありがとうございます。喫煙可。