煮干淡麗

今回訪れたのは「ラーメン幸福論」さん。頂いたのは、その名も「煮干淡麗」。見た目からして透明感のある黄金色のスープに、整然と泳ぐように盛り付けられた細麺。そして別皿に盛られたトッピングが、まるで“自分で仕上げる一杯”のような高揚感を演出してくれます。

まずレンゲでスープをひと口。立ち上る香りからすでに煮干しの存在感が強烈に伝わってきますが、飲んでみると驚き。ガツンと濃厚な煮干しの旨味が押し寄せながらも、雑味やエグみは一切なく、クリアで澄んだ味わいに仕上がっています。まさに「淡麗」という言葉そのもの。力強さと繊細さを両立させた、このスープには思わず唸らされました。

麺は中細ストレート。見た目はシンプルですが、一口すすればスープとの相性の良さに気づきます。程よいコシがありながら、するりと喉を通り抜け、煮干しの旨味を余すことなく運んでくれる。量は「並」ながらもしっかりボリュームがあり、食べ終えたあとには心地よい満足感が残ります。

そして特徴的なのが別皿のトッピング。青ネギと刻みタマネギのダブル薬味は、煮干しスープに爽やかな辛味と甘味を加え、口の中をリフレッシュしてくれます。チャーシューは柔らかくジューシーで、脂の旨味が淡麗なスープに深みをプラス。細長いメンマはシャキッとした歯ごたえで、麺と一緒に食べると小気味よいリズムを生み出します。極めつけはしば漬け。鮮やかな色合いと独特の酸味が、ラーメンの世界に新たなアクセントを添えており、まさに幸福論らしい独創性を感じさせます。

総じて、「煮干淡麗」は煮干しラーメンの概念を一段階引き上げたような一杯でした。力強さがありながら繊細、シンプルに見えて奥深い。食べ終えた瞬間、心に残るのは「また食べたい」という強い余韻。この一杯は、ラーメン好きだけでなく、煮干しが苦手だと思っていた人にもぜひ挑戦してほしいと感じる、完成度の高いラーメンでした。

――幸福論、その名にふさわしい幸福感を与えてくれる一杯。そう言い切れる味わいでした。