• 特製中華そば(1200円)

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    特製中華そば 1200円

    1990年代後半、まだ「ダブルスープ」という言葉が特別な響きを持っていた時代に、その完成形を提示した一杯。動物系のコクと魚介の香りを重ねたスープは、今でこそスタンダードになったが、ここで初めて体験した時の衝撃を覚えている人も多いはず。レンゲを運ぶたびに、どこか懐かしさを伴う安心感が広がる。

    麺はやや縮れの中太で、スープを程よく持ち上げる設計。啜った瞬間のバランス感は今もなお秀逸で、過度な主張はないが、じんわりと旨味が積み重なっていく。チャーシュー、メンマ、海苔といったトッピングも過不足なく、まさに“中華そば”という言葉がしっくりくる構成。

    正直なところ、現代のトレンドである濃密系や尖りのある一杯と比べるとインパクトは控えめ。それでも、この店でしか味わえない「当時の最前線」が、そのまま時間を越えて残っている価値は大きい。流行の移り変わりを経てもなお、変わらない美味しさを提供し続けていること自体が、すでに一つの魅力。

    派手さではなく、積み重ねられた歴史と記憶で食べさせる一杯。ラーメンというカルチャーの流れを体感する意味でも、定期的に帰ってきたくなる場所。