今回頂いたのは、「麺屋 昊鶏」のセカンドブランドとして誕生した 昊豚(そらぶた) の「蒼空魚介麺」。
2020年にオープンして以来、“泡系とんこつ”を軸に、地元ファンの舌を掴んで離さない人気店です。
まず目に飛び込んでくるのは、まるでカプチーノのようにきめ細やかに泡立つスープの表面。
レンゲを入れた瞬間、ふわっと立ちのぼる香ばしい豚骨の香りが食欲を刺激します。
このスープ、見た目こそエスプーマ風で軽やかに見えますが、ひと口すすればその印象が一変。
クリーミーな口当たりの奥に、豚骨の骨髄からにじみ出た深いコクと旨味が凝縮されています。
「濃厚なのに、重くない。」
「こってりなのに、最後まで飽きない。」
そんな相反する魅力を見事に両立したスープは、まさに職人技。
豚骨特有のクセや臭みは一切なく、代わりにほんのりと魚介の旨味が重なり、スープ全体に優しい奥行きを生み出しています。
女性客が多いというのも頷ける仕上がりです。
麺は細めのストレート。泡系スープとの相性は抜群で、ひとすすりごとにとろりとしたスープがしっかり絡みつき、クリーミーな旨味をダイレクトに運んでくれます。
上にのった刻み玉ねぎが爽やかなアクセントとなり、スープの重厚さを絶妙にリセットしてくれる。
さらにチャーシューは柔らかく、脂の旨味と肉の香ばしさがスープの余韻と溶け合い、思わずレンゲが止まらない。
魚介の香り、豚骨のコク、泡の軽やかさ。
それらが一体となって生み出す味わいは、もはや“ラーメン”という枠を超えた料理的完成度。
見た目、香り、食感、後味──その全てに計算されたバランスが光る、まさに昊鶏の系譜を感じる一杯でした