• ミニラーメン(800円)

  • 2023年1月30日(月)

    昨夜は仕事を終えてから若干寄り道をしてこちらの店を初訪問。

    こちらは「ギフト」が運営する二郎インスパイア系のチェーン店です。

    18時45分に到着すると、予想に反して店内では1名の先客が空席待ちの状況です。

    先ずは「ミニラーメン」の食券を購入し、店内で待つ事6分ほどで席に案内されました。

    そして、着席から4分ほどでコールの合図を受け、空かさず「ニンニク、野菜、アブラ」と伝えると同時にラーメンが到着です。

    半濁気味のスープには油膜と背脂が浮いていて、極太平打ち麺の上にはチャーシュー、キャベツ、モヤシ、刻みニンニクが乗っています。

    先ずはスープを飲んでみると、強めでいて輪郭を保った醤油の風味や塩味と共に、豚の旨味に満ちた出汁の味わいが口の中に広がります。

    出汁は恐らく豚のみと思われますが、肉質のエキスを基軸としつつも骨髄のコラーゲン質や背脂の油分がバランス良く溶け込んでいます。

    一方、醤油ダレは加糖の甘味と共に仄かな酸味を帯びていて、それらが豚の旨味と混ざり合う事で味わいに絶妙なフックを生み出します。

    次に茹でた野菜を食べてみると、シャッキリとした歯応えと共に素材の持つ素直な風味や甘味を感じます。

    また、スープに浮いた過剰な豚脂が茹でた野菜に対しさり気なくドレッシングとしての役割を果たします。

    次に麺を食べてみると、低加水寄りの極太麺が硬めに茹でられていて、モッチリとした歯応えと共に灰分を含んだ小麦の風味を感じます。

    そして、麺にはスープと共に油分が存分に絡み込み、噛み締めるとそれらが小麦の甘味と調和する事で味わいに一段と膨らみが増します。

    次にチャーシューを食べてみると、小振りな豚バラ肉のロール煮豚が極めて厚めにスライスされています。

    赤身はパサ付く事なく瑞々しく仕上げられていて、噛み締めると甘めな醤油ダレの風味と共に脂身のコクや甘味が舌に存分に伝わります。

    また、刻みニンニクを解きつつ食べてみると、スープの乳化が浅めである事からニンニクの風味が遮られる事なく舌に鮮明に伝わります。

    食べ終えた感想ですが、大衆の好むツボを極めて上手に捉えた完成度の高い味わいである様に感じました。

    これはあくまでも私見ですが、塩味に加えて甘味や酸味を巧みに操る事で、中毒に陥れる様なフックを的確に与えている様な気がします。

    ギフトは他人のマワシでしか相撲を取らない印象が極めて強く、そう言う面がフリークから嫌われる理由である事は最早周知の事実です。

    斯く言う私も、単なる豚骨ラーメンを「横浜家系」と名付けて日本中に広めた「町田商店」には少なからず嫌悪感を抱いている1人です。

    一方、他店の商品を題材として大衆に受ける味を生み出す姿勢からは一貫してマーケットインに徹する経営理念が伺える様にも感じます。

    個人的な好き嫌いはさて置いて、ラーメン界を盛り上げる上で私はこの様なアプローチもアリだと考えます。

    実際私が店を出る時には行列が出来ていて、この事こそがアプローチの正当性を物語っている様にも感じます。

    とは言え、この様な店ばかりだと業界の進化が止まってしまう事から、私は今後も独創性を追求する個人店を応援し続けたいと思います。

    ご馳走さまでした。