• 海老焼売雲呑麺(焼塩、細麺)、蒸し鶏ネギ油ソース掛けご飯(小)、デザート(850円)

  • タレは焼塩と醤油、麺は細麺(香港麺)と太麺(日本麺)から選べる。
    丼は縁が斜めになった非水平型。傾斜はさほどきつくない。

    動物系の清湯スープは驚くほど旨味が潤沢。麺は超極細の香港麺。見た目からは想像できないほどコシが強い。量は80g。
    雲呑は非常に大きいのが5個。皮は適度に厚みがある。餡はたっぷりで、海老が丸ごと1尾。他に豚ひき肉、細切りのきくらげなど。半分の味玉は黄身が半熟。味はよく染みている。具は他に2種類の香味野菜、干し海老を揚げたもの。

    まずは雲呑の大きさと存在感に、次にスープの美味さに驚かされる。あっさりだが、淡麗という一語では言い表せない。
    そして、極めつけは香港麺。素麺より細いのに、硬めでしっかりした歯応え。
    独特の食感は、確かに未知との遭遇。長浜ラーメンの極細麺とは似て非なるもの。

    雲呑はぷりぷりした海老と、ちゅるんとした皮の喉ごし。そこに豚ひき肉の食べ応えと、きくらげのこりこり食感が加る。
    丼を覆い尽くさんばかりのそれは、間違いなくこの一杯の主役。麺なしの雲呑スープであっても、この金額を支払う価値がある。
    これまでに食べた中で、間違いなく一番美味い雲呑。そう断言できる。

    さらに、端役たちもしっかり主張してくる。
    香味野菜はどちらも中国のものだと思うが、残念ながら私の食材知識の範囲外。しゃきしゃきの食感が心地よい。
    干し海老を揚げたものは香ばしくて、こちらも絶妙なアクセントになっている。
    卓上の特製ラー油は沈殿物がたっぷり。辛味以外に花椒などが効いている。思い付きで最後入れてみたが、これが非常に合う。

    ランチタイムは蒸し鶏ネギ油ソース掛けご飯(小)とデザートがサービス。
    前者はご飯に皮付きの蒸し鶏を2切れ乗せ、塩味のネギ油ソースを掛けたもの。ご飯の炊き加減は適当。
    柔らかい蒸し鶏に、刻みネギたっぷりのソースが相まって美味い。これが無料か……
    こちらにも、沈殿物入りのラー油を乗せて、味変を楽しむ。

    後者は小豆の入った、絹ごし豆腐のような小さいのが2片。爪楊枝が添えられる。
    砵仔糕(プッチャイコー)か。香港の甘味で、小豆入りのライスプリン。
    食感は非常になめらかで、簡単に崩れるので爪楊枝で差せない。皿の縁から食べる。
    だだ甘。決して嫌みな甘さではない。口直しにはなるが、人を選ぶ味だと思う。

    新型コロナウイルス対策で、冷水機の脇に手指の消毒用アルコールを設置。
    カウンターはパーティションで区切られ、扉は開放したままでの営業。

    余談だが、ここって15年ほど前に「無」や「いまむら」があった場所か?
    店主の今村氏は時代の寵児ともてはやされ、神奈川のラーメン業界を牽引する存在だったが。今はどこでどうしてるのやら……