• わんたんそば(990円)

  • 2023年3月10日(金)

    昨日は「鳴神食堂」を出てから本来の目的であるこちらの店を初訪問。

    今まで地道に目指してきた「かづ屋」系譜の制覇に向けた活動の一環です(笑)

    本来は「くろ松」と一緒に制覇すべき話ですが、その時は長野遠征の途中であった事からこちらを訪れる余裕はありませんでした。

    12時54分に到着すると、店内では辛うじて僅か2席のみが空いている状況です。

    席に着いて「わんたんそば」を注文すると、待つ事16分ほどで待望のラーメンが到着です。

    昨年訪れた「くろ松」とは一転して、このビジュアルからは「かづ屋」の面影が存分に伺えます。

    先ずはスープを飲んでみると、軽やかな醤油の風味や塩味と共に、淡麗でいて奥行きに満ちた出汁の味わいが口の中に広がります。

    出汁の構成は「かづ屋」と概ね同様と思われますが、動物や魚介の風味に負ける事なく野菜類の甘味が存分に効いている印象です。

    尚、慎重に味わうと昆布と思しき旨味が微かに舌を過ぎるものの、化調から来るグルタミン酸との区別は極めて判断に迷う所です。

    味の面でも「かづ屋」の面影が色濃く残されてはいるものの、客層を考えて幾分優しめな味わいにシフトされている様に感じます。

    次に麺を食べてみると、多加水寄りの細麺が柔らかめに茹でられていて、プツリとした歯触りと共に仄かな小麦の風味を感じます。

    また、良く見ると所々に全粒粉が見当たる事から、麺に関しては敢えて「かづ屋」とは方向性を変えている意図が見受けられます。

    そして、細麺にはスープが潤沢に絡み込み、小麦の甘味に淡麗なスープの旨味が重なる事で味わいにさり気ない膨らみを与えます。

    次にチャーシューを食べてみると、豚肩ロースや豚腿肉の小振りな焼豚が若干厚めに切られています。

    赤身は固くなる事なく靭やかな弾力を保っていて、噛み締めると焼かれた肉質に封じ込められた旨味が舌に余す所なく伝わります。

    尚、赤く染まった縁からは炭火で焼かれた痕跡が伺えるものの、その割には炭火焼きの特徴である薫香が希薄である様に感じます。

    次にワンタンを食べてみると、豚挽肉を主体とした餡が若干薄め寄りの皮で緻密に包み込まれています。

    餡は醤油ダレや胡麻油で適度に下味が施されていて、噛み締めると挽肉の旨味と共に滲み出た肉汁のコクが舌に存分に伝わります。

    食べ終えた感想ですが、身体に深く染み渡る優しい味わいではあるものの、私個人的には些か優し過ぎる印象が否めませんでした。

    今後も数多存在する「かづ屋」系譜の制覇を目指して焦る事なく地道に食べ歩きを続けたいと思います。

    ご馳走さまでした。