二度目の訪店。《ぽん太》は結構神出鬼没で、平日であっても常盤の中央信用金庫に屋台が停まってたりいなかったりする。22時を過ぎても開いてなければ、その日は諦めるより他ない……が、その日は運よく赤提灯と湯気があった。兼ねてより気になっていた全部乗せ=チャーシュー+唐揚げ入りのラーメンをオーダーする。その日は最初の客が自分だったようで、寸胴を置いている台を卓代わりに使わせてもらう。
名前通り、増量されたチャーシューに加えて鶏ムネ肉の唐揚げがトッピングされている。唐揚げは今やどこのラーメン屋でもサイドメニューのド定番だが、それがラーメンの上にドンと乗っているのはあまり……と言うかほぼ見かけない。以前紹介した《櫻家》のコロッケラーメンと同ベクトルのパワープレイ的料理にも思えるが、揚げたてではなく常温の唐揚げをスープの熱で温め、なおかつ立ち食いという別皿という手段が使えない環境下で可能な提供手段として「ラーメンのトッピングにする」という手段が用いられているのだとすれば、なるほど理に適っている。
三月初旬とは言え夜風は冷たい。「今冬は雪が一度しか積もらなかった」などと大将との他愛のない会話を楽しみながら、柔めの麺を啜る。唐揚げも程よく温まり、衣も鶏白湯を吸ってよい感じ。BGM代わりのカーラジオから流れる古めの歌謡曲が、湯気と共に夜の闇に溶けていく。やはり《ぽん太》には唯一無二の情緒がある。