• らーめん(+味玉)

  • 山崎麺二郎が雑誌などで紹介される際、まず取り上げられるのは「塩らーめん」、次点で「つけめん」が殆どで、基本味であるはずの醤油「らーめん」の扱いが小さいのは実に遺憾。そんなワケで久しぶりに醤油を食す。

    麺は多加水、平打ち細麺。柔らかさの中にもっちりした芯があり、舌触りと喉越しが抜群。
    ロースのチャーシューは、しばらくスープの熱に浸して柔らかくなった頃に食すのが好きだ。伊丹十三の映画『タンポポ』の序盤で、渡辺謙の妄想の中に出てくるラーメン食いの達人がやるアレだ。噛むほどに程よい脂と豚肉の風味が出てくる。
    個人的に推したいのがメンマ。肉厚で柔らかく、繊維のプチプチした歯応えを絶妙に残している。日本でもトップクラスに美味い、主役級のメンマだと思っている。
    味玉もよく味が染みている。半熟の濃厚な黄身が美しく、何より美味しい。

    そして上記を引き立てるのが、鶏と和風出汁、カエシが穏やかに調和したスープ。余計な主張は一切せず、一杯のラーメンを最後の一滴まで纏める役に徹する。山崎麺二郎を評する際にしばしば用いられる『ストイック(禁欲/無欲)』の源泉が、ここにあるような気がする。

    そんならーめんの値段は相変わらずの650円。味玉を付けても750円。それでいてビヴグルマンや各誌の賞を得た品質を維持し続けているのだから驚嘆。