• ラーメン(850円)

  • ヤサイニンニクアブラ。+豚めし(450)
    ようやく来れた課題店。自分が二郎を食い初めた10年前よりもさらに昔の味を保っているとのうわさ。
    最近の二郎はどこも上手すぎますから(誤字ではない)、今一度オリジンを感じて初心を思い出したい。

    低めのカウンターからは調理風景が見える。た〜っぷりのタレに濃ゆい豚骨スープが注がれると、スープ表層の油膜をを掬い取り、調整して作っているようだ。ふむ。
    カウンターの各席に1つずつウォーターポットがあってカウンターが激狭になっている。ふむ。
    そもそも一杯目の水を並々注いだあとに氷を入れているためめちゃくちゃこぼしてから提供される。ふむ。
    店内のいたる所にもっと合理化、ないし効率化できそうなところがあるものの、それをしないのがやはり原初の二郎らしい真っ直ぐさと、いごっそうらしい心遣いなのかもしれない。その精神の掛け合わせこそがコールの文化の発生につながったのだろうか。
    豚メシはもう豚とメシとをタレをかけて全力で混ぜて作っていて、全てのものに店主さんの魂を感じる。

    さて着丼。なにひとつ飾り立てた部分のない、べシャっとした見た目が感動的。その魂の味、いただきます。
    まずスープ。小さくうめき声を上げる。メチャメチャなパンチ。味しかしない。久々に食らった。
    タレの塩っ辛さとベタ甘さがズンと喉の奥まで突き刺さり、豚のぶっ濃さが鼻腔を埋め尽くす。バランスなんてあったもんじゃない味の塊、だがこれが良い。強い力と強い力がぶつかり合って口の中で砕ける様子を存分に楽しめる、制御の利かない古代兵器の如き味わい。
    ヤサイは直系らしいキャベ比の多いもので、しっかり温められてほっくり甘いクタ気味。ひとまわしタレもかけてくれてめちゃめちゃ味がする。正直スープ+タレでめちゃめちゃキツい塩味が出るが、この組み合わせもまたなぜか美味い。
    ブタは控えめに言って神。重くなく、かつジューシーで柔らか。箸で持つと自重で崩れるほどで、このブタなら増せるいい品質。
    そして麺。今の二郎よりも一回り太く、よく茹でられてぷにモニ食感。実はスープに麺を盛ってからすぐ提供ではなく、その後にも作業が挟まり2分ほど麺が浸かってからコールがスタートしていた。そのためか麺はやや赤く染まっており、めちゃめちゃ味がする。
    アブラはチャッチャと振りかけるスタイル。ここまで味がするとアブラは増しの効果があったのかどうかわからない。

    さぁ。書いてあることからわかるとおり、丼の全部から味しかしない。味から逃げる場所はどこにもない。当然ながら豚メシもしっかり味味の味だけが味わえるので、ここもまた危険地帯。味の絨毯爆撃。カラメコールはマジでヤバそう。

    正直なところ、ラーメン二郎の狂信者以外に気軽にオススメすることは憚られる、暴力的かつ挑戦的な一杯。ブラッシュアップをしない方向でブラッシュアップを繰り返した、過激なまでの保守的な味。
    だからこそ、10年前初めて食べた二郎の衝撃を再び感じられる。
    実際には10年前の味さえも、より一般に受け入れられやすいように改良が成されたユニバーサルなものであったと思われる。しかし、はじめに述べたように今の二郎は美味すぎるために上手すぎる。
    まだ完全に大衆化されず、ジロリアンと呼ばれるものが今よりもさらにオタク気質な異常者として見られたあの頃の味は、今思えばかなり尖っていて、そして大勢がそれに惚れた。上手い二郎はそれは素晴らしく、間違いなく美味いのだが、上手くない二郎もまた別次元の美味さを持つのである。
    今は失われたあの頃の粗い二郎の味を究めた店。今一度過去を噛み締められる幸せ。
    思い出したい笑顔を求めて行ってみてほしい。