• パーコー麺薄口醤油味(1050円)

  • 2022年5月29日(日)

    今夜はラー娘と分かれた後に前々から訪れたかったこちらの店を初訪問。

    ラーメン業界では「96年組」と語り継がれる嘗て栄華を極めた名店です。

    尚、他の2軒は「青葉」と「麺屋武蔵」ですが、私はこの年に誕生した最たる名店は「多賀野」であると思っています。

    17時02分に到着すると、夕食には早い時間である事から先客は僅か3名のみの状況です。

    先ずは「パーコー麺薄口醤油味」の食券を購入し、席に着いて食券を渡すと待つ事11分ほどで待望のラーメンが到着です。

    黄金色のスープは仄かな濁りを帯びていて、極細麺の上にはカットされたパーコー、メンマ、小松菜、海苔、ナルトが乗っています。

    先ずはスープを飲んでみると、適度でいて輪郭を保った塩味と共に、重厚でいて自然な甘味を帯びた出汁の旨味が口の中に広がります。

    出汁は鶏や豚の動物系と煮干しや昆布に野菜や果物の様ですが、凡ゆる素材が昆布を軸として分厚い旨味の層を構築している印象です。

    正直言ってレトロな味わいを想像してはいたものの、現在人気を博する有名店にも引けを取らないインパクトに満ち溢れた味わいです。

    次に麺を食べてみると、低加水寄りの極細麺が若干硬めに茹でられていて、粘りを帯びた歯触りと共に鮮やかな小麦の風味を感じます。

    そして、極細麺にはスープが存分に絡み込み、噛み締めると小麦の甘味とスープの旨味が重なる事で味わいに豊潤な膨らみを与えます。

    また、極細の低加水麺である事から俄かにスープを吸い込む為に、時間が経過するに連れて味わいに次第と奥行きが増す様に感じます。

    次にパーコーを食べてみると、脂身の希薄な豚肉が生姜醤油で味付けされた衣を纏いつつ揚げられています。

    肉質は靱やかな弾力を保っていて、噛み締めると衣から滲み出た濃いめな下味と共に赤身の素朴な旨味が舌に至って素直に伝わります。

    食べ終えた感想ですが、昔に比べて人気が落ちたのが不思議に思えるほどインパクトに満ちた味わいでした。

    尚、店主の「田村満儀」氏は不在であったものの、後から調べてみると現在73歳を目前に控えている様です。

    ラーメンブーム到来の頃にテレビで頻繁に見掛けた有名店主達も、時代と共に高齢に達している事実を改めて思い知らされた気分です。

    また、当時の行列店も26年経つと人気を失う中で、今でも変わらず人気を博している「多賀野」は極めて稀有な存在であると言えます。

    店が無くなってから後悔しない為にも、嘗て栄華を極めた名店を今の内に出来る限り食べ歩きたいと思います。

    ご馳走さまでした。