• 濃厚煮干そば(800円)

  • カツカレーやハンバーグが人気の喫茶店。
    だったはずが、東京仕込みの本格煮干そばの店に変貌を遂げた。

    店内は壁の本棚が色褪せた漫画本で埋め尽くされる、古き良き昭和の喫茶店の様相。

    しかし、12時半過ぎの訪問でカウンター4席テーブル6卓が満席で、客の7割がたラーメンを啜っている光景は、到底店の外観からは想像できない。

    隣のおじさまが食べていた旨そうなナポリタンを横目に、濃厚煮干そば(800円)と和え玉(200円)注文。

    見るからにドロドロのいわゆるセメント系濃厚煮干ラーメン。メニューにマニア向けと書いているだけあって納得のニボ度で苦味もエグ味も抜群だが、自然な旨味ですっきりとキレが良く嫌味がない。独特なコクがあり、烏賊わたなどを使用しているかもしれない。シルキーな舌触りで、ザラザラした魚粉の食感なんて皆無。適切丁寧に煮干の処理をされているのは明白である。

    このタイプに合わせる麺はツルパツの細ストレートと相場が決まっている。かん水のアンモニア臭は好みが分かれそうだが私は大歓迎。よりマニア向けと言える。

    チャーシューは低温調理の鶏胸肉と豚もも肉が1枚ずつ。どちらもハイクオリティ。メンマは穂先メンマを使用。ドロ系にザク玉は鉄板。カイワレ、海苔は飾り程度の役割かな。

    和え玉は硬めに茹でた麺に醤油ダレと香味油を少々かけて、魚粉、コロチャー、ザク玉をあしらったもの。そのままだと麺のパサ感が強すぎていまいち。つけ麺のように残ったスープに浸しながら食べるか、一気にスープに投入した方が良い。
    200円にしては麺量が多くラーメンを2杯食べたような感覚で、サービスのライスもいただいたのでかなり満腹になった。

    一旦喫茶店だった店を閉め、数年前に再開したらしいが、いつからラーメンを提供するようになったのかは不明。独学でこのラーメンを完成させたとは考えにくく、帰り際にどこで修行したのか尋ねてみたが秘密だそうだ。
    伊吹、いずる、つきひと思いつくドロ系煮干の名店を挙げてみたが教えてくれなかった。
    厨房の中は見えなかったが、おそらく2代目?がラーメンを担当しているのではないかな。

    ギャップ萌え要素もあるけど、いつまで今の喫茶店の形態で営業できるだろうか。
    ここにとどまっているレベルの店じゃない。

    次回は淡麗系をいただこう。★4.5。