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ヘバ
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天下一品 五条桂店
京都府
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赤
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半年ぶりだろうか。
9月20日に閉店される五条桂店さんへ。
15年ほど前桂に2年、住まいを構えていた時期がある。
当時は午後の勤務が多い職場だったため、常に訪麺後出勤していた。
昼のBGMはいつも昭和の歌謡曲。
初訪麺時、学生時代に光GENJIのファンだった妻のテンションが異常に盛り上がっていたのを思い出す。店員さんは全員色違いのバンダナ。
ボスキャラ的なおばちゃんに気に入ってもらい、来店するといつも注文を聞きに来てくれる。
「大盛りカタ麺ニンニクなし」と言ってるにもかかわらず、二日間は臭うくらいのニンニクが入る。あの無駄なサービスが懐かしい。
17時になると店の雰囲気は一変する。
バンダナのチャキチャキした厨房の奥から、ねじり鉢巻をした白髪のおっさんらが顔を出す。
BGMは昭和の演歌に早変わり。当然のように厨房で店員さんがタバコをふかしていたのが懐かしい。
当時会計を済ませると、駐車場には大型のトラックが並ぶ。
なるほど客層に合わせて昼と夜の営業の雰囲気を変えていたとは…その衝撃に驚きと感動を覚えた記憶が涙を誘う。
そして本日。
恥ずかしながら初めて「赤」を頼む。
SNSに感化されたか。
辛味も好きである。
確かに美味いが本来のあの暴力的なニンニクのパンチが損なわれている。
食べ進めるごとに、本当に閉店してしまうのか…と、泣けてくる。
これほどまでにハートを揺さぶり、感情移入する一杯。他では中々ないであろう。
接客の良し悪しとか味の濃淡ではない。
もうこの店に自分との歴史があるのである。
本日も炎天下の中来店時には30数人ほどの列。
それぞれに思い入れがあるのであろう…ダラダラと汗をかきながら、誰も列を外れようとはしない。
たまに駐車場に入ってきた車や歩行者が、この長蛇の列を見て心が折れ断念される。
心の中で「あなたの思い出はその程度か…」と呟く。
できればもう一度、あのラーメンを食べたい…いや、あの店に行きたい、あのBGMが聞きたい、あの寡黙な大将が見たい。
長文になってしまった。
また一つ、歴史が終わろうとしている。
盛者必衰、会者定離、愛別離苦。
諸行無常の響きを感じながら、明日からまた頑張ろう。
ごちそうさま^_^