• 限定にぼしラーメン(伊吹いりこ100%清湯) +味玉(800円)

  • 入院していたのである、病院に。
    三十六である。初めての病気といってよい。

    いのうえに久しぶりに行った。満席であった。

    退院してからラーメンはひかえていた。なんとなしにではあるが、健康を慮っていたのかもしれない。

    入院するまえは八十キロを越えていた体重が七十にまで落ちた。落ちてみればちょうどよかった。よい体型であった。

    ウキウキした。そういう気分になった。

    そこが落とし穴であった。

    ストイックになった。悪いことではない。しかしなんというか。なりすぎたんである、ストイックに。

    ラーメンを食べていなかった。忘れてさえいた。


    今日、尻手にいたのはどういうアレだったのか。つまり、そういうアレだったのか。

    ビックリした。足が勝手に動いたみたいなもんである。いのうえにおった、気づいたら私は。

    限定のにぼしラーメンである。伊吹いりこ100%である。清湯である。

    いりこの甘さと醤油の甘さを感じたね、舌。わからんけど、いりこじゃないかな、甘さ。

    帰り道に坂道をのぼっていたのだが、息が切れて立ち止まった。人ひとりの細い坂道である。おりてくる人もいない。しばらく佇んでおった。巣が近いのか、無数の蟻がひっちゃかめっちゃかに動きまわっておった。統制がとれているのか、いないのか、乱雑を極め狂乱しておった。私はいけない妄想をした。

    そんな昼下がり、平成三十年九月二十日であった。