二度目の訪店。しかし入る前から達和感を覚える。
「あれ、こんな店だっけ?」
確か一週間前に来た時は《光正》という店名ではなかったような気がするのだが……。
そして違和感は入店後も強まる一方だった。カウンターには一品系のメニューを書いた短冊がずらりと並び、奥の座敷席では6〜8名くらいの団体がすっかり出来上がった様子で歓談している。これでは居酒屋か、それこそ居抜き前のふぐ料理屋ではないか。
「本当に同じ店なんだろうか……」
狐に抓まれたような気持ちにながら、とりあえずカウンターに着いて前回頼まなかった(と言うかメニューに無かった)淡麗ラーメンを注文して待つ。
そう言えば初訪時には【鶏白湯】や【台湾まぜそば】もあった気がするが、あれらは見間違いだったのだろうか……………。
…………うるさい。
目と鼻の先の座敷からの、特に笑い声が煩い。会話から察するにフットサルの同好かサポーターの集まりらしいが、まぁ声が無遠慮でデカい。他に自分しか客がいないのも手伝って、猶更そう感じる。昔から体育の授業も体育会系のノリも大嫌いなので、この手合いほど堪えるモノはない。とは言え、ここが呑みをメインにした店であれば、そんな些末な好き嫌いの主張こそお門違いというヤツである。
その苛立ちを察してくれたのか(どうかは判らないが)、着丼時に定食の唐揚げを一つ多く付けてくれた。デブは肉さえ与えておけば大概の機嫌が治る生き物である。そして自分もまた例外ではない。気を取り直して実食に移る。
【光正ラーメン】から背脂を抜いて、よりあっさりさせたのが【豚骨淡麗】といった感じ。これぞ〆のためのラーメンといった佇まい。
そして会計時に改名の件を訪ねた所「オープン直後、同名の某有名店(非ラーメン店)からクレームが来て、変えざるを得なかった」というのが真相らしい。
そりゃ殺生だよなぁ……旧名のままのスタッフTシャツが哀しい。