歴史遺産的ラーメン店。
年季の入った店構えのドアの隙間から中をうかがうと、堅物そうな男が2人、距離を置いて座って動かない…
うーん…カオスだ。
一瞬尻込みするが意を決して中へ。
かなり年齢は行っていそうだが、ガタイと姿勢の良い往年のプロボクサーみたいな店主に「いらっしゃい。うちははじめて?うちのラーメンは全部九州のだけど大丈夫?」と言われ、「あぁ、は、はい…」などと曖昧に返事をしながら席へ。
店の奥には漫画雑誌を読み続ける常連っぽいおじさん。
デフォの商品『幻の九州ラーメン』を注文して店内を見渡すと、そこかしこにおやじワールドが全開。
テーブルの上にはおやじの波瀾万丈な人生を記した新聞記事。柔道で国体に出たり単身渡米したりと武勇伝満載。2000年掲載で58才ってことは既に齢80を超えているのかぁ。
カウンターの前の一部は店主のマイスペースが作られており、普段はそこで動画を見ているっぽい。
壁には柔道の選手や指導者としての輝かしい栄光の写真が沢山飾られている。
正に50年の歴史が詰まった俺様博物館。
出て来た幻のラーメン。
チャーシュー、青ネギ、海苔の他に紅しょうががデフォで乗っている。
スープを啜る「あーーー、期待通りのノス!」
臭いの無いうっすいスープは、紅しょうがの味だけで体裁を保っている。
麺を啜る「あーーー、期待通りのズンダレ!」
っていうか、ダレダレw
全てが今の流れに逆行しているが、味覚を研ぎ澄ますと、ちゃんと豚骨の髄の旨みを感じる事が出来る。
濃厚な店主の人生も一緒に噛み締める事で成立する味。
それがここの流儀かもしれない。