この周辺に30年位前までは多く残っていた赤線地帯の名残も殆ど無くなり、街歩きの魅力は随分減ってしまった。
東大生への悪影響から、遊郭が根津から洲崎に移転して今年で135年。
四角い人工島だった遊郭の正面入口、洲崎橋のたもとに吉左右はある。終戦後は洲崎パラダイスと呼ばれ、この辺にはネオン輝くゲートが立っていた。
吉左右を広辞苑で引くと、
①よい知らせ。吉報。
②よいか悪いか、いずれかの便り。
とある。
遊郭の入口と言えば、吉原の見返り柳や長崎丸山の思案橋など、優柔不断に揺れる男心を表した遺構が多く、何か②的な意味が込められているのでは?と勘繰ってしまうが、多分考えすぎ。ここは素直に①なんだろう。
閑話休題。私自身、豚骨魚介にはかなり手厳しい方だ。インパクト重視でドロドロスープが首都圏を席巻した悪夢の様な時代から距離を置く様になってしまった。
そんな私がたまに食べたくなるのが、この吉左右とこうかいぼう。感じの良い誠実な夫婦が営む豚骨魚介の名店2つがこの至近距離にあるのはある意味奇跡。
吉左右の魅力はなんと言ってもスープのバランスの良さと日本人が好む仄かなスパイシーさ。
最初にフワッと香るセリ科植物の種のような風味はコリアンダーかな?最後にペッパーの刺激も若干残る。
この味覚と嗅覚の構成はカレーうどんの古奈屋とも通じる所がある。
最初に芳香系スパイスの香りが鼻から来て、次にクリーミーで出汁のバランスが良いスープの旨みを感じ、最後に刺激系スパイスの辛味が少し舌に残る。
それらしく分かったように分析してるけど、根拠となるデータは全く無いです…
コリアンダーなんてぜーんぜん使って無かったらすいません。