• ザンギラーメン

  • 10年くらい前、天神川の《新福菜館》の近くで営業していた店が(何故か今になって)移転オープン。
    喫茶店の居抜きなのか、白を基調にした店内はラーメン屋という雰囲気ではない。壁に架けられたジグソーパズル、アコースティックギター、そして大量の漫画単行本は年季の入った褪色具合(ブッコフで買取を拒否られるレベル)。

    新店のフレッシュ感、ゼロ。

    店をワンオペで任されてるのは、ラーメンとは無縁そうなおばちゃん。それなのにメニューはやたらと充実。嫌な予感(という名の良い予感)しか無い。とりあえず、主力と思しきザンギ(北海道風の唐揚げ)が乗った味噌ラーメンを注文。

    着丼。カットされたザンギが数個とほうれん草、そしてモヤシ(生)。とりあえずはスープを啜る。

    ……うっす(薄)!

    味噌ラーメンに求められる塩気もコクも、今ひとつ……否、ふたつくらい足りてない。例えるなら液体調味料か調味油を入れ忘れて作ったカップ麺のような物足りなさ。
    ではメインのザンギはどうか。
    正直、スーパーの惣菜売り場の唐揚げと同等の質感。ふにゃっふにゃ。作り置きをカットしてオーダーの度にフライパンか何かで焼いて(!)温めてるのではないか。でなきゃ、唐揚げの断面に焦げ目は付かないだろ。せめてその辺りは揚げたて載せるとか拘れや。

    今日日探してもなかなか見つからない「おざなり」なラーメンを死んだ目で啜りながら(麺もまたおざなりなんだ、これがまた)、ある結論に至る。

    多分、ここはラーメン屋ではないのだ。

    「ラーメンとコーヒー」と掲げられているが、それは「ラーメンなどの軽食も提供する喫茶店」という意味なのだろう。そう思えば合点もいく。実際、食後に頼んだアイスコーヒーは美味かった。
    しかし喫茶店に必要であろう「居心地の良さ」を見出せなかったので、そそくさと店を後にした。

    ちなみに店の周辺は夜になると、真っ暗闇の中で隣のラブホテルの灯りがぽつんと燈っているような場所である。