千葉のラーメン史を語る上で外す事の出来ない店。
少し硬い話になるが、高度成長期の1960年後半、関東での鉄骨需要の増加に対応する為に北九州の八幡製鉄が君津に製鉄所を開設した。
その時に2万人に及ぶ従業員及びその家族が九州から君津周辺に大移動したそうな。
日本の歴史の中で特定の狭い地域へのこれだけの大規模移住ってちょっと聞いた事が無いレベル。
その時に、方言や食など様々な九州の文化が流入。この店も先代が君津に先に渡っていた親戚から誘われ、1970年に開店したのだそう。以来50年以上、ガラパゴス的に九州豚骨ラーメンの味を守り続けている。
個人的に食文化伝搬のルートを探るのに興味があるのでこの手の話は大好物。
で、実際のラーメンはと言うと、白っぽいクリーミーな見た目だけど、旨味と塩味がしっかりあって、臭いもフワッと感じる。
博多よりも加水高めのチュルっとした麺が不思議とマッチした貫禄と安心感を兼ね備えた一杯。かなり良い。
連れが頼んだチャンポンも一口もらうが、野菜の甘みや胡椒のパンチの奥に感じる濃厚なスープの熟成感…こりゃ反則級の旨さ。
この日は試合上がりの少年野球のチームやら、こども会っぽい団体やら、店内は多くの子供たちで賑わっていた。ビールに合うホルモン焼と餃子は子供にも大人気。で、最後はちゃんと麺類で〆ている。
その他、家で焼くホルモン焼(生)を大量に買っていく客もいたりで、町に溶け込んだ店だなーとつくづく感じる。
田舎特有の地域のハブになってるこんな場所、チェーン店ばかりの町に住む身としては、羨ましい事この上無い。